Breaker's Break Introduction
先人曰く。
人は幸運の時は偉大に見えるかもしれないが、
真に向上するのは不運の時である。
まったく、
ご尤もだよ。
某県某市、港地区。
大きくはないが、人は多い海沿いの街である。
中央には駅があり、また建物が密集し、そこから離れれば離れる程民家や田畑が多くなる。
地方都市、と言うのに相応しい場所だろう。
駅の直ぐ傍、オフィス街。
職場へと向かう会社員、学校へと向かう小学生、或いは中学生、或いは高校生。
至極当たり前な光景にそぐわない二人組みが歩いていた。
片や青年。
白いロングコートを羽織り、薄笑いを浮かべながらふらふらと。年のころは二十五歳くらいだろうか。
片や女性。
男性とは対照的な黒いベストに黒いスカート。無表情、しっかりとした足取りで。こちらは丁度二十歳くらいだろう。
双方、これから出勤します、という雰囲気も、大学行ってきます、という雰囲気も持ち合わせていない。
「なあ、妹」
青年が口を開いた。
呼びかけられた女性が、ゆっくりと男性の方を向き、
「……なに?」
やはり無表情のまま、少しだけ首を傾げた。
それに対して青年は薄笑いを浮かべたまま、背後をそっと指差す。
地元の高校の制服を着た女子が二人、談笑していた。
それがどうした、といわんばかりにねめつけてくる女性に苦笑し、青年は背後に向けていた指を自分の耳元に持っていった。
女性は一瞬動きを止めて、
「……」
女子高生二人の会話に耳を欹てる。
「破壊屋、だっけ?頼んだら何でも壊すって」
「それそれ!凄くない?伝説の破壊屋だよ、伝説の!」
「何が凄いのか私にはちょっと分からないけど、…うん、凄いね。それで?」
「それで、って…もし頼めたらどうする?」
「私はどうもしないよ。…ん?それじゃあ、瑞樹ちゃんにはあるの?壊して欲しいもの」
瑞樹、と呼ばれた少女は楽しそうに微笑み、高らかに言った。
「当っ然!あんたゼッタイおかしいって!普通あるでしょ」
「そうかなあ。…何を壊して欲しいのか、聞いてみても良い?」
「学校!」
それを聞くや否や、もう一人の少女は苦笑する。
「そういうのじゃないんじゃないかなあ…」
「えー?そう? …でもまあ、どうせ都市伝説みたいなものだし。無理なのは分かってんだけどね」
そのまま少女二人は遠ざかっていき、不自然にならない程度に立ち止まりながら話を聞いていた男性と女性は顔を見合わせる。
「……情報が漏れてる。けれど都市伝説程度なら、この間みたいなことをしなくて済む。放っておいてもいいと思う」
「ああ。その辺りは任せるぜ。…しっかしなあ…ははっ、伝説ねえ。笑って良い?」
「……好きにすれば良いと思う」
「ま、どうでもいいんだけどな。依頼は面倒だし、都市伝説で止まって仕事が来なけりゃ万歳、万歳だし」
「……仕事をなめてかかってるのなら地獄に堕ちればいいと思う」
「怖えよお前」
そのまま、不自然な二人組みは歩いていく。
兄、志野 朝陽。二十六歳。
妹、志野 朔夜。二十歳。
彼らこそが、破壊屋だった。
Postscript
何事も試してからじゃないと出来ない。
というわけで、試作品。
新人賞とか、応募してみたいよなあ…
とはいっても今の文才じゃ如何考えても無理か。
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